健康保険の被扶養者の収入基準、そしてありがとうございました。

 お客様からのご質問です。

 数年前から、未利用だった不動産を賃貸に出されて、収入を得始めていらしたお客様です。
 収入が得られることになり、それが税務上の所得ベースで、38万円を越え、
 ご家族の所得税上の控除対象となる扶養親族からははずれました。

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 問題は健康保険の被扶養者からはずれてしまうかどうか、でした。

 所得税で控除対象の扶養親族から外れると、
 ソッコーで、
 会社の所属する協会健保=政府管掌の健保から、「健康保険扶養者調書」という書類が飛んできます。
 あたかも、被扶養者ではなくなったから、届出をしてください、といった書類です。

 お客様は、所得税の扶養親族からはずれたので、健保でも被扶養者ではなくなるんだ!と早とちりされたようです。
  事業転用の際に、そのお話も、申し上げていたのですが、お客様はすっかり忘れてしまわれていたようでした。

 でも、普段から、とにかく税金のこと、お金のことで変わったことがあったら、
 必ず事前に聞いてくださいね、と
 口をすっぱくして(^^ゞ、お願いしていましたので、ご連絡をくださったのです。

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 結論からいえば、
 所得税の扶養親族の基準と、健康保険の被扶養者の基準は、似ているようでも違うんです。
 それは、根拠法が全く違うからなんです。

1.所得税は、所得=利益、つまり、
 給与所得なら給与総額ー給与所得控除額、
 事業所得や不動産所得なら、
 「総収入金額-減価償却を含めた必要経費-青色申告控除」が38万円以下なら、
 扶養親族になります。(所得税法第2条第1項第三四号)

2.健保の被扶養者は、
 原則は収入基準で、
 年収見込額が、130万円未満、
 60歳以上又は59歳以下でも障害者年金受給者は、年180万円未満が基準です。

 この「収入」については、健康保険では、独自の算定をします。

(1)給与所得者も、直近3ヶ月をベースに今後1年間の年収見込を計算します。

(2)扶養されている人が、事業所得者や不動産所得者であるときは、

   「収入=総収入-減価償却費等以外の必要経費」

 という健康保険法独自の収入の概念で計算します。(健康保険法第3条第7 項、健康保険法施行規則第38条昭和52年4月6日保発第9号・庁険発第9号、昭和61年4月1日庁保険発第18号)
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 恒常的な収入のうち資産所得、事業所得などで所得を得るために経費を要するものについては、社会通念上、明らかに当該所得を得るために必要と認められる経費に限りその実額を総額控除し、当該控除後の額をもって収入とすること
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 このことが、会社様の担当者さんになかなか理解していただけず、
 あるいは会社顧問の税理士先生が、社会保険関係までご担当なさっている場合に、
 所得税の扶養控除と混同されてたり、
 さらには、それって税務じゃないじゃん、各自で対応してね-、と放置されたり、

 
 で、被扶養者要件を満たしているにもかかわらず、
 健康保険の被扶養者から外されてしまっているケースが多いようです。

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 お客様の場合は、もちろんオッケーですから、
 健保さんに然るべく書類を提出して、問題クリアしていただくことになりました。

 というわけで、事故の未然防止。
 よかったですね。

 これからは、扱うお役所が違うときは、法律も違うんだ、と覚えて下さい。
 ね。(^^)

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 お客様からのいただきものがどっさりでした。

 
         
 
by expresstax | 2014-07-23 23:10 | 資産運用