外れ馬券訴訟は上告、そしてスタジオ収録   

2014年 05月 23日

 刑事裁判となっていた外れ馬券訴訟について、平成26年5月9日に
 大阪高裁で検察が敗訴していました。

 このあと、上告するのかねえ、と話していましたら、
 高裁判決から10日のカウントで、5月23日、
 大阪高検は、最高裁に上告したんですね。

 裁判の上告(高等裁判所の判決を不服として最高裁判所に訴えること。)の期限は、
 判決の宣告があつた日から十日以内にこれをしなければならないとされています。(刑事訴訟法415条)

 一時所得か、雑所得かの所得判断だけでなく、
 そもそも無申告だったことでの量刑が、高裁判決で減刑されていたこともあるのでしょうし、
 全国で同様の訴訟が他にも起きているそうですから、
 ここは引けないんだろうなあ、などと話していました。

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 外れ馬券訴訟のあらましは、平成25年5月23日の大阪地裁判決が既に判例集に掲載されています。(このあと、大阪高裁でも地裁判決が支持されています。)
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 競馬の馬券を大量購入して得た利益を申告しなかったとして所得税法違反罪に問われた元会社員(40)について、大阪高検は23日、外れ馬券も経費と認めた上で有罪とした大阪高裁判決を不服として、最高裁に上告した。
 検察側は「馬券購入による所得は一時所得で、当たり馬券の購入費だけが経費」として、課税額は約5億7100万円だと主張している。高裁は一審同様、雑所得として外れ馬券も経費と認め、課税額を約5200万円に減額した。(時事通信社)
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 つまり、現行の所得税法基本通達34-1では、競馬の馬券の払戻金は一時所得としています。
 「次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
 (2)競輪の車券の払戻金等」 

 法律では、一時所得は、「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう(所得税法34条第1項)、とされています。

 そして、その計算は、所得(利益)の50万円まで非課税として越える額の1/2を他の給与所得等と合算課税します。
 が、利益計算上の必要経費を、「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。」としています。

 検察は、外れ馬券は、当たり馬券の必要経費ではない、と主張したのですが、

 大阪地裁・高裁は、営利を目的として馬券を継続的、恒常的に買い続けた場合、
 外れ馬券の購入費も必要経費になると判断し、
 馬券購入について、FX(外国為替証拠金取引)や先物取引との共通点をあげて「雑所得」であり、
 娯楽性はなく、資産運用の一種である、と認定したのです。

 ただし、一般的な馬券購入については
 「楽しみ、消費の性質があり、払戻金は一時所得」とすると地裁で言及されていたところ、
 高裁では、被告人以外の場合であっても、
 払戻金を得た者の馬券購入行為が,被告人と同様客観的に認められる態様や規模に照らして
 「営利を目的とする継続的行為」に当たれば,雑所得になると判断したようです。

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 所得区分の判断と、所得認識について、
 まるで、所得税法のお勉強にちょうど良い例題のようです。

 一時所得の例示とされているのが、通達にすぎないことと、
 雑所得での必要経費での直接性がどう議論されるのか、

 さらに、担税力の問題がどう扱われるのか、というところでしょうか。
 つまり、一時所得として5億7千万円の課税を受けても、
 ご当人は、正味1億4千万円の利益しか得ていないという問題です。

 最高裁が取り上げて審理するのか、
 あるいは上告不受理(の場合は、高裁判決で確定)の可能性もあり、
 展開が注目されます。

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 ご相談が朝から連続、
 その足で、日管協さんのスタジオ収録に向かいました。
 「賃貸不動産経営管理士講座」の講演をDVD収録して、
 DVD研修とするための録画です。

 
 今月、こうした収録は、別企画と合わせて2つ目。
 なかなかハードな肉体労働です。
 一緒にがんばっていただいたご担当のT様、K様、スタッフの皆様、
 ありがとうございました。






































 


 

 

by expresstax | 2014-05-23 23:34 | 所得税

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