1.自分で自分の道をふさがないこと。
当初申告した税額よりも税額が多くなる場合に自ら申告しなおすことを修正申告といいます。
が、この場合、自分で誤りを認めてしまうことになります。
その場を収拾しようなどと、修正申告を認めてしまうと、仮に、税務署さんの数字に納得がいかず、あとで、やっぱりほんとはこうなんだ、と考え直しても、原則としては、不服を申し立てることができなくなります。
そこで、税務署さんがどうしても認定するというなら、こちらが修正申告を出さずに、税務署さんから更正決定という書類を出してもらいます。
それに対し、税務署が税務署の考える数字で、あなたの申告額はいくらいくらのはずだ!
と更正してきたら、それに対し、異議申立や審査請求といった不服申立をしたり、裁判を申し立てて、納得のいく決着をつけることができるのです。
2.公示対象ならば、さらに。
よく新聞に、
○○会社、△億円の課税逃れ!
などとすっぱ抜かれている会社があります。
税金の話なのに、経済欄ではなくて、社会面に出たりします。
あれは、修正申告が税務署で公示され、情報公開されてしまうからです。
もともと日本には、高額納税の個人や法人を晒し者にする「公示制度」があります。
法人の場合は年所得4千万円超の事業年度、
個人所得税なら年税額1千万円超、
相続税なら一人で課税価格(課税される純財産額)2億円超ならその人、
一つの相続全体で5億円超なら全員、
贈与税なら贈与財産の課税価格4千万円超、
で、所轄税務署に、公示されます。リストにされて公開されます。
これが、修正申告しますと、申告誤りをしたというのも公示されてしまいます。
修正の差額(増差といいます)が、基準以上、ではなくて、修正後が基準以上だと、出されてしまいます。
公示されるのは、基本的に、儲かっている優良会社、資産家さんです。
それが、法人税を、所得税を、相続税を、漏らしていたんだよ、と見せしめになります。
当初申告で公示されるのは、ある意味、名誉かもしれません。
しかし、修正申告で、見せしめになるのは、これは、もう、ダメージ以外の何者でもありません。仮に妥協の産物としての修正申告でも、真実は世間にはわかりません。
「えっ、あの人が、あの会社が! へぇーー!」と言われてしまう結果を招きます。
弊社が、こうした公示対象のお客様の申告の場合、特に、特に、特に、細心の注意を払うのは、このためです。
公示対象の会社・個人は、絶対に、修正の応じてはいけないのです。
万が一、うっかり、自分に責任のあるミスでもあって、訂正しなければいけなかったとしたら。
税務署さんに、お願いしましょう。「更正してください。」
これで公示にはなりません。
手続きが面倒なので、税務署さんは、ちょっと嫌がるかもしれませんが、背に腹は代えられませんよね。