自筆証書遺言の検認と筆跡、そしてブドウをありがとうございました。

 あるところで、相続のプロが、自筆証書遺言を遺された相続人様に対し、
 家庭裁判所の検認に呼ばれたら、「偽造だと思う」と答えよ、とアドバイスすると聞きました。

 自筆では法的に不安定だよ、公正証書にしなさいよ、と言いたかったのかもしれませんし、
 相続案件がすんなり丸くおさまっては、プロにとっては仕事にならない、ということなのかもしれませんが、
 びっくりし、慄然としました。

 亡くなった人が、自筆で遺言を書いていた場合は、
 家庭裁判所に、その遺言書を確認(検認)してください、と申し出て、
 相続人様たちは、家庭裁判所から呼び出しを受けて、
 家裁の書記官さんの前で、遺言書の開封を受けます。
 そして検認証明書を発行してもらい、
 検認証明書がないと、その遺言書を元にした遺贈や相続の登記や名義変更はできません。

 検認の際に、偽造だと申し出ても、検認証明書は発行され、名義変更もできてしまうそうですから、
 偽造だと言うことで、とりあえずの妨害をすることはできないそうです。

 しかし、プロから、偽造だと思うと言えと勧められ、
 相続人が、真正な遺言を、偽造と言ってしまうとしたら、

 もう、その瞬間から、
 遺言を遺してくれた親御様への尊敬や、
 他の相続人たちとの信頼関係は、破壊されてしまうでしょう。

 幼少の頃に、文房具や衣類に、親の文字で、自分や兄弟の名前を書いてもらった人は多いはず。
 入学の申込書や担任との通信文に、書き込まれた親の文字を読んだ経験もあるはず。
 そうした親の筆跡は、忘れようにも、人生最後まで忘れないはずです。

 自分や兄弟の名前が、遺言書に書かれていたときに、
 その筆跡を、偽造と、言ってしまう心の闇は、 
 既に、人として超えてはならない一線を越えてしまっているのではないだろうかと思います。

 とはいえ、その一線を越えさせる世界に、プロが誘導することがあり得るという恐ろしい事実も、
 専門家として、知っておかねばならないのでしょう。

 ☆  ☆  ☆

 自筆証書遺言の検認事案には、過去も現在も、多々携わっていますが、 
 親の筆跡を偽造と言うような相続人様は、ただの一人もいらっしゃいませんでした。
 
 むしろ、親御様の文字を、「あ、お母さんだ、お母さんだ」と、
 みんなで覗き込んで、涙を流し合う光景ばかり、拝見してきました。
 
 それは専門家としては、もしかしたら、ラッキーなことなのかもしれません。
 心したいと思います。

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 大きな種なしのピオーネをいただきました。
 冷やして、おやつにみんなでいただきました。
 ありがとうございました。
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by expresstax | 2012-09-10 23:02 | 相続・贈与