お客様のビル賃貸契約では、更新料規定があります。
その所有ビルのテナントが、
更新時に更新料を払わず、次の更新時に契約書を書き換えるという条項を入れるなら、
今回のみ更新料を払うと、仲介業者さんを通じて、告知してきました。
そのテナントは、ナショナルブランド(全国展開)の上場会社。
上場会社なら安心と、仲介業者さんに勧められて、賃貸をしたのです。
ところが、契約履行をするのに、契約変更を求めるという、とんでもない要求です。
実は、このテナントは、昨年にも、東日本大震災直後に、賃料減額請求をつきつけてきた、という過去がありました。
そのときは弁護士と話して、無視し、他の社会動向をみながらと、静観しました。
世のオーナーにとっても、厳しい状況だったからです。
結果、減額請求の話は立ち消えました。
ブラフ(はったり・ふっかけ)だったのです。
あの時期の緊縮ムードに流されて、オーナーサイドが折れてくるのを様子見していたようなテナントの姿勢に、お客様と我々は、腹を立てていました。
そして、今回の更新料不払い。
今回は、こちらも速攻、弁護士を通じて、内容証明で、
契約変更には応じない、契約通り、期日までに更新料を払え、
それが不満なら退去すべし、との旨を送達しました。
確かに、事業賃貸の場合、更新料がない契約が多いのは事実です。
もうこの時代に、更新料はダメなのか、と若干弱気になることもあるかもしれません。
事業賃貸なのだから、契約至上主義。絶対、押し返せる!と、
何度か、大丈夫ですよ、と、励まして差し上げながら、成り行きを見守りました。
弁護士と、内容証明の期限がきたけど、音沙汰ないね、と話していましたら、
するりと、更新料が振り込まれていました。
やっぱりね、とお客様と顔を見合わせました。
結局、今回も、ブラフです。
おそらく、強面(こわもて)の法務部が、タイミングを見て、自社に有利に、揺さぶりをかけることを常套手段としているのでしょう。
弱気でいたり、動揺したりのオーナーさんは、耐えきれないと、屈服してしまうかもしれません。
マーケット(市場)判断と、法の原則と、力の綱引きと。
お客様は、今回の事件で学習され、また一段階、強くなられました。
よかったです。
難しい時代ですが、胸を張って、勝ち抜いていきましょう。
我々が、ついています。