正直者が馬鹿をみる、そんな世の中を作りたくない、そして「惑星ソラリス」   

2012年 06月 05日

 タイトルは、ある税務署員さんの言葉です。

 先日、税務調査の新人研修テキストのことを書いたら、
 お客様とその話題になったので、ちょっと。

 ☆  ☆  ☆

 ずっと昔、所属税理士会支部の税務署に、税務相談の応援相談員として行ったときのこと。
 税務相談は、職員さんと、税理士で分担してあたっていました。
 休憩時間に、その所轄の消費税担当の調査官さんとお茶をしました。

 雑談の合間に、まだ若い調査官さんに、調査で苦労されることが多いんじゃないですか?とお尋ねしました。
 税務調査の合間など、雑談のときは、なるべく調査官さんの苦労話をお聞きするようにしています。いつものそのノリだったのですが。

 とつとつと話し始めたその調査官さんのお話は。
 
 ☆  ☆  ☆

 消費税調査で、対象法人であるとある飲食業のお店を再訪したときのこと、
 消費税の無申告で、追徴についての話だったようでした。(お話の様子では税理士さんはついていなかったのでしょう。)

 消費税って、その事業年度(課税期間)の消費税を、必ず後払いで納めますね。
 法人税や所得税と違って、赤字でも納税が生じます。

 そんな金はないよ!と叫ぶや、
 店の主人は、裏口で、突然、そこにあったポリバケツを振り上げ、調査官さんの頭に、
 生ゴミをぶちまけたそうなんです。

 調査官さんは、生ゴミを頭からかぶり、怒りをこらえて申告のお話をしたのでしょう。

 ☆  ☆  ☆

 税務署の片隅で、調査官さんは、そのときの怒りを思い起こすかのように、
 湯飲みを握りしめて、吐き捨てるように語りました。
 僕は、正直者が馬鹿をみる、そんな世の中にしたくないだけなんです、と。

 この世の中で、どの世界に、頭から生ゴミをかけられる職業があるでしょう。

 まるで聖書に登場する、蛇蝎のごとく嫌われる税官吏に対するような扱いに、
 お話を聞いて、言葉を呑みました。

 ☆  ☆  ☆

 数年前、和光市の税務大学校の授業を受けた際に、
 学長さんの講演に、
 まさに同じフレーズ、「正直者が馬鹿をみる世界を作らないために」という言葉が出てきました。

 もしかしたら、国税専門官さんたちの教育の場で、
 この言葉が多用されているのかもしれないと思い当たりました。

 でも、あの若い調査官さんの怒りに震えた言葉は、
 おそらく精一杯のアイデンティティだったのでしょう。

 今も脳裏に焼き付いて、ときどきリフレインして蘇ります。

 日本の国税職員さんの水準は高く、優秀、まじめ、勉強家、
 これだけ複雑な税法をベースに職務執行に励む、おそらく世界に誇れる公務員さんたちです。
 
 予断と偏見なく、尊敬しあい、高め合える関係として、 
 国税職員さんたちを見て差し上げていただきたいと思います。

 ☆  ☆  ☆

 画質が悪いですが、インターコンチ全日空ホテルの36階から見下ろしたアークヒルズのアークタワーです。
 左にカラヤン広場、右は六本木の立体交差、「惑星ソラリス」ですね。。。
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by expresstax | 2012-06-05 23:10 | プロフェッショナル

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