不動産譲渡通算規制の東京地裁分最高裁判決も合憲   

2011年 10月 21日

 平成23年9月22日の千葉地裁分最高裁判決に続き、
 9月30日に東京地裁分の最高裁判決がでています。これも棄却です。

 譲渡損失の損益通算規制を、国会成立前への遡及適用の違憲性を争った2番目の上告に対する最高裁の判断になりますが、連続して合憲とされました。

 弁護団は、22日の事件と同じ弁護団、つまり山田二郎先生をはじめとする弁護団です。

 この弁護団の上告理由書がTAINSで添付されています。

 朝倉先生から、エクスプレスが出ているわよ、と教えていただいて、慌てて読みました。
 
 従来、山浦先生の「バードレポート」や阿藤先生の「ATO通信」は、国税サイドの資料として採用されていました。
 弁護団は、それに加えて、ホームページに掲載していた「エクスプレス情報」を引用していたというわけです。

 このエクスプレス情報は、今は、ホームページから消えてしまっているので、もう読むことはできませんが、
 奇しくも、上告理由書に登場していたわけです。
 そこに、大綱の公表以前に情報入手した弊社が、大綱公表前に、
 平成15年末までに、不動産鑑定評価などでの適正価格での譲渡を急ぐべきとの記載が、
 引用されています。

 また、この事案は、杉田先生が、会社解散による配当所得課税と不動産譲渡損を通算するタックスマネージメントとして行われたことも、理由書にありました。

 杉田先生は、税理士試験の試験委員もなさっていた、理論家の素晴らしい先生です。
 闇討ちのような遡及改正を受け、さぞ口惜しく、無念だったろうと拝察します。

 ☆  ☆  ☆

 千葉裁判官は、判決末尾の補足意見の中で、
 「上記のようなケースは、類型的にその適用から除外するなど、
 附則上の手当をする配慮が望まれるところであったと考える」としています。

 にもかかわらず、最高裁は、なぜこうまでして、
 多くの法曹関係者の批判を浴びながらも、合憲としたいのでしょうか。

 確かにいくつか訴訟が上がっていますが、仮に最高裁で違憲判決を出したとして、 
 その後、我も我もと、救済を求める事案が続出するのでは、国が困ってしまうのでしょうが、 所詮、平成16年1月~3月までの譲渡案件であり、数からいえば、知れているでしょう。
 違憲判断を下し、数に限りのある提起中の訴訟を救済したっていいのではないかと思うのです。

 では、なぜか。

 違憲としてしまうと、今後、一切の遡及立法ができなくなる、という思惑でしょうか。
 「合理的な理由」を並べれば遡及立法可能、とする余地を残す必要があると。

 復興増税の大綱を見ると、
 納税者権利憲章は、見送り、
 通則法改定も見送り、
 日本の租税法の暗闇は、まだまだ続くのだなあと、慨嘆しています。

by expresstax | 2011-10-21 23:03 | 譲渡

<< 定期借家契約は、公正証書?即決和解? 有料老人ホーム入居と相続税特定... >>