撤退の決断

昨日、栗城史多くんが、エベレスト登頂挑戦を断念、下山することを書きました。
今日の16:25にベースキャンプに戻ったそうです。
下山は登山以上に危険なので、心配していましたが、よかったですね。

3回目のエベレスト。キバシカラスという高所カラスに食料とポール、ガスを荒らされ流されてしまっていたことから続行を断念したそうです。

多額の登山資金をかけ、そのために多くのスポンサーに営業し、支援を受け、そうして決行する登山の中途での断念、引き返し。
この決断は、大変なものだと思います。
引き返しといっても、下山の体力、食料・資材が温存されていることが必要です。
冷静な判断でしかできません。

大好きだった植村直己さんは、27年前に、マッキンリーに消えました。
栗城くんは、無酸素、単独登山、撮影通信機材負荷と、すごい登山家ですが、
彼の本当のすごさは、この、撤退の決断ができることではないでしょうか。

 ☆  ☆  ☆

ビジネスも同じです。

始めることより、断念し、後始末をすることのほうが、何倍も大変で、勇気のいることです。
そこから再起を図るのも、あとどれだけチャンスがあるか、どこにも保証はないからです。
まして多くの期待を受け、あるいは負債を負い、社員やその家族の生活や人生への責任など、
その重圧があればあるほど、撤退の決断は、難しくなります。

そもそも、状況を判断し、これから先に進む可能性と、撤退と、そのメリットとリスクの的確な判断が難しく、
今日をしのげれば、明日。明日をしのげれば、次の日も、と
ずるずると続行することで、
傷を広げ、債務を増大し、取り返しがつかなくなるケースが多いのです。

あるいは、その状況があまりに進むと、もう自分から決断することを放棄し、押し流されていくこともあります。
決断自体に、いわばパワーが必要なのですが、
苦境になればなるほど、疲れ、気力が落ち、意思が萎えてきます。

ビジネスの局面では、こうしたときに、周囲に、きちんとしたブレーンに真剣に関わってもらえているか、
それは社内ブレーンかもしれないし、顧問の専門家かもしれない、
あるいは、実は奥様かもしれない。
たったひとりでも、真剣にストップをかけてくれる人がいるか、なのです。

悲惨なのは、社内ブレーンは離れ、家族には最後まで知らせず、顧問専門家は、他人事としてしか関与してくれていないケースです。
誰にも、何も言ってもらえず、ますます孤独に奮闘することになります。

ひどいケースでは、十数年、債務超過・赤字垂れ流しの会社の経理の記帳決算のために、高額な顧問料を、最後まで払い続けているケースがありました。
決めきれず、しかし最後に弊社に駆け込んでこられ、弊社の接客室で決断、会社清算の道を選択されました。
もっと早く来ていただければ、と口惜しい思いで歯噛みしながら債務整理のお手伝いをしました。

予定していない営業赤字が3年続いたら、一度立ち止まり、可能性の総点検をしてください。
それもムードやイメージで考えるのではなく、数字ベース・資金ベースで冷静にチェックするのです。
判断基準は、その時点で、すべての債務を解消し、再スタートできるかどうか、です。
それを、顧問の先生と、きちんと検討してください。


栗城くんを見ていて、そんな我々の責務を、思い起こしました。

by expresstax | 2011-10-13 23:08 | 経営 

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