首都圏定期借地借家権推進機構さんのご依頼で、定期借地権の講演をさせていただきました。
国交省が提唱中の前払地代方式の定期借地権についての解説がメインですが、相続税の取扱があった後でもあり、土地利用の選択肢としての定期借地権の勉強です。
つくば市の酒井泉先生が、筑波センターまで車でピックアップしてくれました。
酒井先生は、高エネルギー加速器研究機構にお勤めの工学博士ですが、「『新田園都市構想』による、つくば発『世界のまちづくり』へ」を提唱して、「なかこんだより」を発行されるなど、極めて意欲的に活動なさっています。
そして、つくばエクスプレスでさらに発展する筑波地域のなかでも、中根・金田台は、環境(日本初の緑住農一体型住宅地)で勝負しようというのです。
緑住農一体型住宅地は、米国シカゴ郊外の「オークパーク」のイメージなのだそうです。
宅地と緑地が一体となった格調の高い高級住宅地が形成され、地区内公園へつながる緑の回廊が、高い資産価値を生み出し、帝国ホテルの設計者として日本でも有名な、フランク・ロイド・ライトが設計した家々と街並みで世界的に有名、街の中にライトの自宅があり、記念館となっているそうです。
そして、その要になる街区の緑の回廊作りについて、私の講演のあとに、栄在住の造園業の塚田喜三さんのお話がありました。
塚田さんは、初めての講演なのだ、と前置きして、街区の高さ18mほどになるシンボルツリーの街路樹を、樹種ごとに選択すること、高木と低木の組み合わせ、高木は住宅にとっては見晴らしをよくして防犯にもなること、最初からの生長樹を買えば高額だが、棒樫など、枝の出る前のものを買えば低廉で、3年ほどで立派な街路樹になることを、企業秘密だが、と笑いながら教えてくれました。
夜12時頃にケヤキの幹で耳をすますとジーッと水を吸い上げる音が聞こえる、と、造園のプロのお話は、生命の感動に溢れたお話でした。
そして、酒井先生のお話では、農地は、農地といっても、花畑、果樹園、ハーブ園で構成するのだというのです。
ほんとうに、街路樹と芝とに広く囲まれた、美しく、すがやかな家と街、それが中根・金田台なのだと思うと、わくわくしました。
そして、先行モデル街区を作ろうと。
「具体的な街区の景観を見せて、首都圏へ向けて売り出していかなければ誰も知らずに、土地の区割りをしたまま立ち腐れになる可能性がある。
シカゴのオークパークは30戸程度の核となる優れた景観の住宅地を中心に資産価値の高い良質なまちなみが形成された良い事例である。
これを参考にして中根・金田台地区でも30戸程度の良質な環境の先行モデル街区をつくり、地区全体の資産価値を上げるべきである。」
伺うと、来月の勉強会講師は、あのIDUの池添 吉則さんだそうです。
ただの住宅地として販売や賃貸募集をかけるのでは、土地の価値は活かせない。
価値ある街を作って、全国からここに住みたい人だけを募集する、そしてこそ、日本で一つだけの価値のある街ができる、と熱く語る酒井先生の戦略です。
帰りの車の中で、真摯に語る酒井先生に、思わず拍手してしまいました。
いっしょに素晴らしい街作りのお手伝いをさせていただける光栄を身が引き締まる思いがしました。
ありがとうございました。