日本税務会計学会月例研究会での発表

 久々の税務会計学会の月例研究会で、
 訴訟部門として発表の機会をいただきました。
 テーマは、「相続税小規模宅地の課税価格の特例に関する判決・裁決にみる同特例の改正の影響について」です。
 
 台風6号接近で不安定なお天気の中、たくさんの税理士先生方がご出席くださいました。
 ありがとうございました。

 居住の認定の問題、老人ホーム入居の問題、生計一の問題、貸付事業用の事業継続性の問題・・。
 論点てんこもりの特例です。
 
 昨年3月までは、最低でも、200㎡まで5割減額できていた制度が、
 特定居住用や特定事業用に該当すれば8割減、しなければゼロ減となり、
 貸付事業用でも、申告期限までの保有・貸付事業継続がなければ、ゼロ減へと厳しくなっています。

 早い事案でも、今年の2月から申告が始まったばかりであり、
 新法での適用が税務調査でチェックを受けるのは、税務署さんの事務年度の始まったこの7月以降です。
 判例や裁決例は、当然、旧法事案が対象ですが、
 そこから、新法への対応の可能性を探りました。

 とても熱心にお聞きいただき、ありがとうございました。

 ☆  ☆  ☆

 最後にご質問をいただいたのですが、
 そのうちの一点について、時間切れで十分な回答ができませんでした。

 ご質問は、父所有と子所有の区分所有の二世帯住宅の場合、
 別区分に居住していた子が「被相続人の居住用家屋に居住していた者」と申告した場合、
 特定居住用とされるか。
 他の講師の講演では、OKとの判断だが、違うのではないか、という趣旨だったと思います。

 これは措置法通達69の4-21に関する問題です。
 このブログでも、再々とりあげてきた二世帯住宅の同居認定がテーマです。

 その場で、OKとお答えしたのですが、十分な議論はできませんでした。
 申し訳ありませんでしたので、ちょっとここで書こうと思います。
 またいずれ、事務所で書籍等に当たりながら、再度まとめたいと思いますが、
 とりあえず、です。

 ご質問は、措通69の4-21にある
 「被相続人の居住に係る共同住宅(その全部を被相続人又は被相続人の親族が所有するものに限る。)」の部分についての解釈、と拝聴しました。
 これを、全部が被相続人、又は全部が被相続人の親族、と読むと、先のケースでは、ダメ、という話になってきます。

 考えるに、父の土地の上に二世帯住宅(この通達では「共同住宅」)を建築する際に、
 その建物所有名義は、法律上も税務上も、資金出資者の名義となります。
 
 父が全額出せば全戸父名義、
 父にローンが下りないなどで、子が全額出せば、全戸、子の名義。
 父子で取得割合に応じて資金を出し合えば、ご質問のような別々な名義となります。

 でも、通達の「なお書き」が許容しているケース、
 つまり、父は一人暮らし、別区分で子所帯が生活、
 そうした際に、子が、「被相続人の居住用家屋に居住していた者」
 つまり、「自分は、父と同居してました」と自己申告した場合に、特定居住用を認めるよ、という通達が、
 建物名義が、父と子、別々だからといって、別段の扱いをする必要はないのではないように思います。

 また、手許の措置法通達逐条解説を見ますと(平成18年版ですが)この部分について、
 次のように書かれています。
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 このように建物全体が被相続人又は被相続人の親族によって所有され、その建物に係る各独立部分に被相続人とその親族が分かれて居住しているケースについては、「同居」として取り扱うこととしても特に問題がないと考えられることから、69の4-23なお書は、被相続人が共同住宅(建物で、各独立部分を独立して住居その他の用途に供することができるもの)で、被相続人によりその全部が所有されていたもの又は被相続人の親族によりその全部が所有されていたもの、あるいは、被相続人及び被相続人の親族によりその全部が所有されていたものの独立部分の一つに居住していた場合において、被相続人の配偶者もその独立部分に被相続人と共に起居していた同居の相続人もいないときは、その共同住宅の他の独立部分に居住していた者を「被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族」とする申告があったときは、これを認めることを明らかにしたものである。
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 もしかしたらご質問の趣旨をとり違えているかもしれませんが、
 明日にでも、また事務所で他の書籍にもあたってみます。

 小規模宅地の特例は、今後の実務の中で、多くの論点が出てくると思います。
 心して、研究していきたいと思うのです。

 ほんとうに、ありがとうございました。

 また、お声がけくださった高橋先生、
 最後までおつきあいくださった朝倉先生、依田先生、
 ほんとうにありがとうございました。

 ☆  ☆

 朝倉先生、事務連絡です。(^^ゞ

 お話しに挙がった浜松西署事案は、
 名裁-静岡地裁-東京高裁-最高裁が正しいです。
 TAINSでは、
判決年月日 (H20-11-27) (H21-06-25)(H21-11-27) 
国税庁訴資 (Z258-11086)(Z888-1531)(Z888-1532) 
 
名裁裁決年月日 H19-06-05
コード番号   F0-3-217(情報公開法開示)  です。 

 地裁名の記載が間違っていました。名古屋地裁ではなく、静岡地裁です。
 審判所が、名古屋審判所です。
 レジュメp.15部分の訂正です。
 今後、気をつけます。(>_<)
 ありがとうございました。 m(_ _)m
by expresstax | 2011-07-20 23:06 | 相続・贈与

税理士飯塚美幸のひとことメッセージ


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