底地の評価が下がりそうなのです。ということは相続税も下がりそうなのです。
逆に物納は不利になりそうなのです。
つまり!
底地(貸宅地)の評価は、自用地価額×(1-借地権割合)です。
借地権割合6割の住宅地の場合は、底地は、4割、つまり、借地権割合+底地割合=100という想定理論です。
ところが、地主さんが底地を売却しようとしても、ぜーーーーーったいに、4割では売れません。
せいぜい1割程度でしょう。
だって、底地と借地権って、地球にひとつだけ。限定1組のコーヒーカップとソーサー(皿)のようなもの。ウェッジウッドのカップのないお皿だけ、なんて、カップを買い足さない限り、1円の価値も持ちませんが、それと同じなんです。
んじゃ、地主さんはどうするか、っていうと、売っても1割にならない底地が4割評価されて、半分が相続税でキャッシュで持って行かれるなら、4割で引き取って貰おうじゃないか、と考えます。それが相続税の物納です。
かくして、国の元には、4割3割の底地がうじゃうじゃ物納されました。
じゃ、国が底地を公売しようとしたら?もちろん4割3割では売れません。
というわけで、今回の財産評価通達25の改正です。
「底地の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した価額の宅地の自用地としての価額に対する割合(以下「貸宅地割合」という。)がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長が貸宅地割合を定めている地域においては、その宅地の自用地としての価額にその貸宅地割合を乗じて計算した金額によって評価する」
つまり、国税局が貸宅地割合を、地域ごとに決めるから、底地はもうそれで評価してよね、というわけです。
当然に、借地権+底地=100という仮想理論は、がらがらと崩壊。
特に、地代額を基とする、ってのは、いわゆる収益還元価格ですから、底地はそもそも、地代くらいしか所有する楽しみがなく、売買実例がめったにないのが普通ですから、これはもう、これまでの財産評価の理屈に完全に風穴を開けた、というより崩壊させた取扱です。
ことほどさように、物納で、国は、底地をもてあましてきているのでしょう。
この貸宅地割合は、8月1日の公表路線価に搭載されるんだそうです。
さあ、地主さん達は、8月1日は、国税庁に一斉アクセスです。
もちろん、エクスプレスも、ご報告しますね。