特定資産買換えの延長は?そしてウメもどき

 税制改正が、切り出し法で確定の方向に向かって。
 お客様からのご質問が続きます。

 特定資産買換えは、平成23年度改正で、結果的に、切り出し法で、
 本則、平成26年12月末まで延長になりました。
 ただし、これは、本則の話し。

 買換特例のうち、個人旧16号・法人旧17号の所有期間10年超資産の買換特例は、
 新9号として、平成23年12月末の期限のままです。

 平成24年税制改正で、平成24年1月1日以降への延長規定が入らなければ、
 そのまま、フェイドアウト。
 宇宙の彼方へと、消滅します。

 租税特別措置法透明化法や、事業仕分風の租特見直しの機運から、
 風前の灯火(ともしび)となっている特例です。

 ☆  ☆  ☆

 ご質問は、

 当社は、不動産の売却を、23年中に契約するけど、
 買換資産の建築の関係から、引渡しは、翌年以降にならざるを得ない。 
 もし、制度が延長しなければ、新9号(旧17号)買換はできなくなってしまう。
 
 しかし、不動産の譲渡については、引き渡し時を譲渡日とみるのではなく、
 契約日を譲渡日とみることもできると聞いた。
 当社は、監査対象法人として、会計上は引渡基準を採用しているので、
 経理上は、引渡日で譲渡益計上せざるを得ないが、
 税法上の譲渡日を契約日として、23年末までの譲渡契約にすべりこめれば、
 イケるのではないか。

 というものです。そうですね。

 結論は、バツです。 

 確かに、法人税基本通達では、不動産の譲渡である場合には、
 契約効力発生日=契約日での譲渡計上を認めています。

============================
法人税基本通達2-1-14 固定資産の譲渡による収益の帰属の時期
 固定資産の譲渡による収益の額は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) 本文の取扱いによる場合において、固定資産の引渡しの日がいつであるかについては、2-1-2の例による。

============================

 ただし。

 特定資産の買換特例は、いったん譲渡資産の譲渡益を計上し、
 それを圧縮記帳することで、課税の繰延を図る制度なんですね。

 企業経理で、譲渡益に対し、圧縮記帳の経理をする、つまり、
 ①圧縮損計上、または②積立金経理、または③利益処分経理 することで、
 初めて特例が使えるんですね。

============================
 租税特別措置法65の7 特定の資産の買換えの場合の課税の特例  
 第1項後段
 (略)~「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその帳簿価額を減額することに代えてその圧縮限度額以下の金額を 当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法(当該事業年度の決算の確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法を含む。)により経理したときに限り、その減額し、又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

============================

 つまり、法人の特定資産買換特例に限っては、
 税務で契約基準、会計で引渡基準を適用して、税務と会計を切り離す、
 ということは、原則としてできないんですね。

 監査対象会社でなければ、今回取引だけ、契約基準で譲渡益計上するならば、
 これはイケるでしょうが、ここは、スジ論です。
 若干のテクニカルな方法がないわけではありませんが、
 コンプライアンス(法令遵守)上、無理はできません。

 果たして、平成24年改正で、新9号買換え特例が、
 延長されるかどうかに、かかってきます。

 このご質問については、別途の解決の可能性がでてきましたので、
 それで対応していただくことになりましたが、

 来年の税制が読めない、という、
 法制度の透明性が担保されない日本って、
 ほんとうにリスキーな国になってしまいました。

 ☆  ☆  ☆

 名前のわからなかった屋上の赤い実。
 植物図鑑では、「ウメもどき」のようです。

 来年の春には、花を見にこなくちゃです。
by expresstax | 2011-06-15 23:31 | 譲渡