お客様と首をひねっていたお話しの続きです。
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大昔は、各地の豪族が、てんでに土地を支配していたので、
それなりの測量はしていたでしょうが、かなりテキトーだったそうで、
正式な統一的な測量は、豊臣秀吉が天下統一してからだったそうです。
昔、学校で習った太閤検地ですね。
でもその頃って、さあ土地を測ろう、というときは、縄で測っていたそうです。
そしてその縄で測った土地について、土地の地籍台帳を作り、
その台帳をもとに、年貢を決めていたそうなんですね。
つまり、お前んとこの土地は、1反だから米10俵取れるはずだから年貢には、4俵出せや、と。
そうすると、お百姓さんは、考えます。
そうか、縄をちょっと長くして測れば、土地は狭いと台帳に書かれるじゃないか。
土地が狭いと見られれば、年貢も、下がるぞと。
そんなこんなで、長い縄で測って、狭く申告する不届き者が後を絶たなかったとか。
一種の「節税」というより「税逃れ」ですね。
この台帳が、明治以降の登記制度に受け継がれて、
後世になって、近代測量できちんと測ると、
実は、台帳よりも、実測の方が広い!という土地が続出。
これを「縄延び」といいます。
反対に、登記より実測が少なくなってしまう「縄縮み」も、たまにあるんですけどね。
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さて、くだんのお客様の土地です。
例えば、登記簿には1,000㎡と登載されていた土地だったとします。
そこから、端っこの土地を、300㎡測って、売却します。
残りは、700㎡のはず。
さらに500㎡測って売却します。
残りは200㎡のはず。
そして、200㎡測って売却しようとしたら、
これで土地はなくなるはずなのに、
あれ~、まだ200㎡も、残ってるよ~。
縄延びだったんですね。
ほんとは、1,200㎡の土地だったんですね。
しゃーねーなー、とばかりに、測量士さん土地家屋調査士さんは、
残りの200㎡を、表示登記と同時に、
所有者は、元の土地の地主さんですから、保存登記をかけます。
こうして、忽然と、200㎡の土地が生まれたことになっちゃった、
というのが、分析の結果です。
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お客様は、元の大きな土地の末裔だったわけで、
ほー、じゃウチは得したんですな、とまんざらでもなさそうですが、
そうじゃなくて、正しく測られただけなんですけど。
ときには、縄延びがあることがわかっていても、
お金をかけて実測すると、大きくなった面積に固定資産税をかけられちゃう、と、
あえて測量をしないでいる地主さんもいらっしゃるそうですが。
それがトクといえるかどうかは、むにゃむにゃ。
縄延び分を計算に入れずに、登記簿面積で少なく土地評価して、
同族会社の株価を低く計算して、
後で追徴を取られちゃった某元首相の相続税のお話とか、
縄延びや縄縮みについては、いろんなエピソードがありますが、またの機会に。
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確定申告で、お休みの日も、お仕事です。
果物食べたり、ハンバーガーぱくついたり、
デスクワークの合間は、おしゃべりしながら食べてばかりです。
危険、危険です。