土地の保存登記の真相は?
 土地の保存登記って、摩訶不思議な現象があって、
 お客様と首をひねっていたお話しの続きです。

 ☆  ☆  ☆

 大昔は、各地の豪族が、てんでに土地を支配していたので、
 それなりの測量はしていたでしょうが、かなりテキトーだったそうで、
 正式な統一的な測量は、豊臣秀吉が天下統一してからだったそうです。

 昔、学校で習った太閤検地ですね。

 でもその頃って、さあ土地を測ろう、というときは、縄で測っていたそうです。

 そしてその縄で測った土地について、土地の地籍台帳を作り、
 その台帳をもとに、年貢を決めていたそうなんですね。
 つまり、お前んとこの土地は、1反だから米10俵取れるはずだから年貢には、4俵出せや、と。

 そうすると、お百姓さんは、考えます。
 そうか、縄をちょっと長くして測れば、土地は狭いと台帳に書かれるじゃないか。
 土地が狭いと見られれば、年貢も、下がるぞと。

 そんなこんなで、長い縄で測って、狭く申告する不届き者が後を絶たなかったとか。
 一種の「節税」というより「税逃れ」ですね。

 この台帳が、明治以降の登記制度に受け継がれて、
 後世になって、近代測量できちんと測ると、
 実は、台帳よりも、実測の方が広い!という土地が続出。
 これを「縄延び」といいます。

 反対に、登記より実測が少なくなってしまう「縄縮み」も、たまにあるんですけどね。

 ☆  ☆  ☆

 さて、くだんのお客様の土地です。
 
 例えば、登記簿には1,000㎡と登載されていた土地だったとします。

 そこから、端っこの土地を、300㎡測って、売却します。
 残りは、700㎡のはず。

 さらに500㎡測って売却します。
 残りは200㎡のはず。

 そして、200㎡測って売却しようとしたら、
 これで土地はなくなるはずなのに、
 あれ~、まだ200㎡も、残ってるよ~。

 縄延びだったんですね。
 ほんとは、1,200㎡の土地だったんですね。

 しゃーねーなー、とばかりに、測量士さん土地家屋調査士さんは、
 残りの200㎡を、表示登記と同時に、
 所有者は、元の土地の地主さんですから、保存登記をかけます。

 こうして、忽然と、200㎡の土地が生まれたことになっちゃった、
 というのが、分析の結果です。

 ☆  ☆  ☆

 お客様は、元の大きな土地の末裔だったわけで、
 ほー、じゃウチは得したんですな、とまんざらでもなさそうですが、
 そうじゃなくて、正しく測られただけなんですけど。
 
 ときには、縄延びがあることがわかっていても、
 お金をかけて実測すると、大きくなった面積に固定資産税をかけられちゃう、と、
 あえて測量をしないでいる地主さんもいらっしゃるそうですが。
 それがトクといえるかどうかは、むにゃむにゃ。
 
 縄延び分を計算に入れずに、登記簿面積で少なく土地評価して、
 同族会社の株価を低く計算して、
 後で追徴を取られちゃった某元首相の相続税のお話とか、

 縄延びや縄縮みについては、いろんなエピソードがありますが、またの機会に。

 ☆  ☆  ☆

 確定申告で、お休みの日も、お仕事です。
 果物食べたり、ハンバーガーぱくついたり、
 デスクワークの合間は、おしゃべりしながら食べてばかりです。
 危険、危険です。
by expresstax | 2011-03-05 23:54 | 不動産

税理士飯塚美幸のひとことメッセージ
by expresstax
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 人に会うのが大好きで、現場第一主義。
 この職業を選んだのも、たった一度の人生で、いろんなお立場の、いろんな職業のお客様と人生をともにして生きていく素晴らしさと醍醐味を知ってしまったから。
 相手を信じて情熱で意気投合してしまう。
 税理士の仕事は、お客様の人生と懐にしっかりと寄り添って、ともに手を携えて生きていくことだと信じる。 

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