相続の名義変更費用は、経費になるか

 ご相続のあと、遺産を引き継ぐことに決まった人は、
 相続財産を自分のものとして、名義変更します。
 
 それが不動産ならば、法務局で、相続登記することになり、登録免許税がかかります。

 ではその登録免許税や登記費用は、経費に落とせるでしょうか。

 相続後、その不動産を、売却する場合と、事業使用する場合が考えられます。
 すぐには売却せず、自己使用したとしても、遠い将来の出口での売却を想定します。
 前者は、譲渡所得に関連します。
 後者は、事業所得や不動産所得でしょう。

1.売買の場合

 相続財産の登記費用は、相続での取得のための費用です。
 その相続財産を売却したときは、その取得のための費用=取得費になります。

 譲渡所得=売価-(取得費+譲渡費用)ですから、
 登記費用は、この取得費にあたるので、譲渡所得が下がるんですね。

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所得税法基本通達38-9 (非業務用の固定資産に係る登録免許税等)
 
 固定資産(業務の用に供されるものを除く。以下この項において同じ。)に係る登録免許税(登録に要する費用を含む。)、不動産取得税等固定資産の取得に伴い納付することとなる租税公課は、当該固定資産の取得費に算入する。
(注)
1 法第60条第1項第1号に規定する贈与、相続又は遺贈による取得に伴い納付することとなる登録免許税等については、60-2参照
2 業務の用に供される資産に係る登録免許税等については、37-5及び49-3参照

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所得税法基本通達60-2 贈与等の際に支出した費用
 法第60条第1項第1号に規定する贈与、相続又は遺贈(以下「贈与等」という。)により譲渡所得の基因となる資産を取得した場合において、当該贈与等に係る受贈者等が当該資産を取得するために通常必要と認められる費用を支出しているときには、当該費用のうち当該資産に対応する金額については、37-5及び49-3の定めにより各種所得の金額の計算上必要経費に算入された登録免許税、不動産取得税等を除き、当該資産の取得費に算入できることに留意する。
(注) 当該贈与等以外の事由により非業務用の固定資産を取得した場合の登録免許税等については、38-9参照
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 ところで、取得費は、次の2通りの、どちらか大きい金額を採用してよいことになっています。
 ①実額での取得原価+実額での取得関連費
 ②概算取得費=売価×5%

 相続財産が、先祖伝来のものである場合には、
 ①は、極めて少額なケース、あるいは、不明なケースが多いでしょう。
 その場合は、②を採用することになりますが、
 そうすると、実額での取得費である登記費用は、ここでは算入できません。
 それでも、概算取得費の方が有利であれば、概算取得費で割り切ることになります。

2.事業用資産である場合

 相続財産が事業用であれば、事業所得や不動産所得の計算上、取得関連費は、必要経費になります。

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 所得税法基本通達37-5 固定資産税等の必要経費算入

 業務の用に供される資産に係る固定資産税、登録免許税(登録に要する費用を含み、その資産の取得価額に算入されるものを除く。)、不動産取得税、地価税、特別土地保有税、事業所税、自動車取得税は、当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入する。
(注)1 上記の業務の用に供される資産には、相続、遺贈又は贈与により取得した資産を含むものとする。

2 その資産の取得価額に算入される登録免許税については、49-3参照
=============================

 と、相続後のその資産の方途によって、扱いが変わるんですね。

 ☆  ☆  ☆

 そもそも、この取扱は、平成17年2月1日、贈与を受けたゴルフ会員権の名義変更費用を、譲渡所得の取得費とすべし、との最高裁判決に基づきます。それまでの国税の取扱では、取得費と認められなかったのですから、180度の方向転換とされました。
 そのため、取扱が、わかりにくくなっています。
 よく注意して対応しましょう。
by expresstax | 2010-02-01 23:00 | 相続・贈与


税理士飯塚美幸のひとことメッセージ


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 この職業を選んだのも、たった一度の人生で、いろんなお立場の、いろんな職業のお客様と人生をともにして生きていく素晴らしさと醍醐味を知ってしまったから。
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