特に税務の世界ではそれが顕著です。
分かりやすい法律構成で、
わかりやすいマニュアルがあり、
わかりやすいハンドブックがあり、
誰がどう計算しても、同じ数字が出る。
それは、税法が目指す方向ではあるでしょう。
しかし複雑化・高度化・広域化する一方の税務の世界で、
いたずらに、簡素性・簡便性のみを優先されるとすると、
個別の状況にあるケースについて、
切り捨て、
無視し、
放置する結果となることは必定。
通達や審理事例や情報文書やQ&Aや指針や照会回答事例や、法律にならない規定で縛り込もうとする流れは、
ひとつには、精一杯、個別事情に配慮しようとする国税当局の呻吟でもあり、
ひとつには、それでも木で鼻をくくるように、枠に当てはめて方向付けしようとする
国税当局特有の「切り捨て御免」の思想でもあるでしょう。
☆ ☆ ☆
良いことか悪いことかは、別として、
その結果として、現在の税務の世界には、
暗黙知ともいうべき、実務知が、厳然と存在しています。
それは、解釈のバッファ(幅)であったり、手続きの実務ノウハウだったりしますが、
重大・重要な税務の局面ほど、
とりわけ相続や譲渡など、資産の移転税である資産税の分野のように、
大きな金額が、大きな要素として動く局面ほど、
その暗黙知の比重が大きいのが実態です。
しかし、書籍やネットでは、通り一遍のことは書かれていても、
ほんとうに実務を遂行するに足るだけの、踏み込んだ内容については、
全く、触れられていません。
その部分は、別途の解決を図らなければならないのです。
暗黙知で仕切られている実務の世界を、「化石」と呼んで唾棄するのは簡単ですが、
現実に運用されている暗黙知について武装せず、研究せず、
書籍に書かれている通り一遍の解説「のみ」を「鵜呑み」にするのは危険です。
それは、あまりにお子様すぎます。
物納や財産評価などの取扱実務は、実務知・暗黙知のジャングルです。
丸腰・丸裸では、イクサにならず、
お客様をお守りすることなど、到底できません。
とりわけ、経験の浅い人が、
こうした実務知・暗黙知の存在について無視し、
無防備に案件にあたって、
お客様を窮地に陥れてしまうならば、
結果的に、傲慢・不遜だと誹られてもしかたないでしょう。
そうして無防備に進めた結果の回復には、何十倍の労力が必要になってしまいます。
弊社の社是は、「予防税務」です。
予防のための研究には、どれだけ費やしてもよいのです。
予防にならない仕事を、いくらやっても意味がないのです。
謙虚に、
より深く深く、研究し、知恵を集め、理論構築し、
事例を採集し、経験者を尋ね、多重のオピニオンを確保し、
最高の結果を出すための努力をこそ、進めていくのが、弊社の仕事のやりかただと思って下さい。
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事務所メンバーのご実家から、たくさんの柿をいただきました。
私のぶんです。
大きく、とても甘い柿でした。
ご心配なさっていませんか。
大丈夫です。
お嬢様は、生来の才能をいかんなく発揮して、
わずかの期間にとても成長して、今では、私の大きな支えになって下さっています。
お世話になっているのは、こちらのほうなのです。
ほんとうにありがとうございました。