掲載していた判例について、お問い合わせを受けました。
役員退職給与について、低額での最終報酬月額だった役員に対して、
適正報酬額に引き直した額に、功績倍率を適用して支給したケースについて、
エクスプレス情報やこのブログでも掲載していました。
平成5年6月29日の高松地裁の判決です。
判決文が欲しいとのご依頼で、お送りしましたところ、
これは棄却された判例ですね、とまたご質問いただきました。
そうなのです。
この事案は、納税者が、適正報酬額に引き直し、
かつ、個人での創業期からの期間を通算して在職期間としていました。
功績倍率についても争点となっています。
在職期間の通算や功績倍率、保険料との見合いなどの争点で、
判決は、被告である国を支持し、棄却となっています。
しかし、今回のポイントである適正報酬月額の問題については、
被告国も認めて譲歩し、
判示では、適正報酬月額の考えを認めて調整数字での判決としています。
したがって、この判決そのものは、納税者が敗訴しているのですが、
争点としては、裁判所が認めたものとして、判例となるのです。
そのため、この判例は、納税者敗訴事例にもかかわらず、
適正報酬月額を採用した判例として、
各種税務参考書や論文などで、取り上げられて、
過大役員退職給与の認定のメルクマールとされているのです。
お尋ねの先生には、参考書のコピーも、ファックスさせていただきました。
ご事案を抱えてのご質問と推察します。
ぜひ、がんばって、お客様を守ってさしあげてください!